私たちがオリジナル・デコを始めたのは、98年の春だった。
当時は皆、企業デザイナーとして同じ職場の同僚であり、休み時間や昼食になると話の合う者同士が他愛のない会話で盛り上がっていた。休日の過ごし方や、趣味、一度はしてみたいことなどと暇つぶしには事欠かなかった。
私は、どちらかと言うとスポーツや仕事や酒の話しよりも家具や照明やインテリアといった話題に夢中になり、そう言う意味で話の合う連中と休み時間になると話を弾ませていた。
ところがある日、チョットシタコトに気が付いた。それは、仲間と話す他愛のない会話には、非現実的な話や単なるジョークも多いのだけれど、思いもよらない面白味のあるアイディアも沢山含まれていることだ。そしてうまいことに自分達は企業デザイナーとしてものづくりについては少しばかり経験がある。これらを組み合わせてオリジナリティーのある物をつくれば面白いことが起こるのかもしれない。ざっとこんな具合だった。
はじめは確かにチョットシタコト(思い付き)だったのだけれど、そういう角度で会話を重ねているうちに実際にそうしてみたくなったし、そうするしかないと思うようになっていた。
そこでいつもの会話のなかでこの企てを話し、いつもの調子でどんどんと話を膨らませていった。ただひとついつもと違っていたのは、例えばの話ではなく、これからそれをしていこうとする皆の気持ちだった。実際、このチョットシタコトは皆を夢中にしていた。
そして、気の遠くなる程の会話の中から第一段目の目標としてショップを持つという着地点が見え、その手始めとしてインターネットショップの立ち上げから始めることが決まった。
こうしてオリジナル・デコはオリジナル商品のインディーズメーカーとして結成された。
いくども打合わせを重ねたオリジナル・デコはその年の夏も終わりに差し掛かった頃、かねてから私が家具製作に使っていたアトリエをオリジナル・デコの試作室として、全員がかりで完成させた。オリジナル・デコのこだわりとして、納得できるものづくりのためにファイナル試作までは自分達の手でつくることを決めていたからだ。
その頃から、試作をつくる傍らインターネットショップ開店へ向け準備を始めた。そして試作ができるとそのモデルや図面を持って商品化してもらえそうなところをあたって廻った。このあたりのお話は当サイトの「Cheese Lamp 商品化ストーリー」のコーナーで楽しんでいただきたいし、今後他のメンバーが、当コラムで触れることになるだろう。
かくしてチョットシタコトが、おおきな夢を持って動き出した。
次の目標はどこかの町にお店を出し、実際にオリジナル・デコの家具や照明に触れてもらうことなのだが、果たして本当にそうなることが出来るのか。このチョットシタおもしろい話はどう転がっていくのか、チョットシタコトで終わってしまうのか、それとも案外チョットシタモノになるのか、私自身も楽しみなのである。
2000.07.01-vol.01/nam